我が国は、2014年に国連の「障害者権利条約（以下、権利条約という。）」を批准し、昨年8月22・23日に国連障害者権利委員会が、我が国の権利条約の取り組みに関して初めて審査が行われ、9月9日に障害者権利委員会より「総括所見」公表された。

主な内容は、『日本の精神科医療に対して強制治療、隔離・身体拘束の廃止・精神保健福祉法の廃止・医療観察法の廃止・精神科病院の虐待防止法の対象に・長期入院（無期限入院）の解消・精神科医療を一般医療に位置付ける』など。この他に、我々が行っているグループホームや日中事業所（シェルダー・ワークショップ）について、ある特定の施設の中で、「自立した生活と地域社会への参加」が制限されていると勧告している。このように、「総括所見」には、「日本における障がい者施策をはじめとする社会状況の課題」が明確にされた。日本がこれから目指す方向性が示され、我々はこの目指す方向に向かって何をすべきかかが問われる。そして、権利条約の理念である「私たちのことは私たち抜きで決めないで」を、どう実践するか関わる我々に問われ続ける課題である。

昨年は、新型コロナウイルス感染が３年目とロシアのウクライナ侵攻、そして温暖化による地球規模の自然災害が世界中で起き、物価高騰の波が止まる様子もなく、我々の生活を脅かして続けている。コロナウイルス感染は、今年になって3月にマスクの任意着用や5月には2類から5類に引き下げられることで、3年前の生活に戻れるのか、3年間のコロナ禍の生活の経験をどう活かしながら、日常生活をしていくのか、コロナ禍で対面の大事さを痛感させられて来ただけに、対面性の中で仕事をしている我々にとって、改めて向き合わされる課題でもある。

県精連は今年度、役員の改選に伴い、この3年間のコロナ禍の中経験を活かし、理事会、要望調査委員会、研修委員会、各部会、各ブロックで、感染状況次第であるが出来限りの対面性の場を確保して、会員事業所、関係職員や利用者の皆さん、横の繋がりを確保する機会を作って行きたい。又、各事業所が研修の義務になっている虐待防止に関する研修会を開催と、各事業所に2024年義務化されるＢＣＰ（業務継続計画：障害福祉サービス事業所等における自然災害発生時の）について検討し研修会を実施する。

我々は、刻々と変化する社会的要因の中で生きている。精神障がいの方々の生活のしづらさは、毎日変わりなく続いている。ことの本質を見失わず、目の前に生活している精神障がいの方々がその人らしく安心して生活出来るような活動の実践をするためにも、情報の把握と業務の振返り、自己研鑽、地域関係者との横のつながりを強めて行く必要があり、当会の活動もその一翼を担えるように会員の皆様と活動を継続していく所存である。