理事会
2019年度
活動計画

事業活動方針

1989年に、「昭和」から「平成」に年号が変わり、30年経った今年5月から年号が「令和」に代わることになった。この30年間を振り返って見る時、精神保健福祉は、制度の中で、大きな変化があり、地域生活する精神障がいのある方たちの生きづらさは解消されたのだろうか。

まず、県においては、1977年に「神奈川県障害者地域作業所補助金制度(知的障がい・身体障がいを対象)」(県市協調事業)が創設され、精神障がいの地域作業所は、1978年に川崎市に「あやめ作業所」が家族会の設置母体で開所した。これは、1965年に「精神衛生法」の一部改正より、保健所に精神衛生相談員が配置されることなり、合わせて家族教室や生活指導教室が保健所で実施されるようになり、家族教室が開催される中で、家族会が各地で発足され、精神障がいのある方たちが、週1日生活指導教室に通うようになって、毎日通える場所として「作業所作り」が各地で始まった。1981年に鎌倉市に「青い麦の家」が開所する中で、1982年に「神奈川県精神障害者地域作業所補助金制度」が創設された。補助金制度ができたことで、全県下で地域作業所作りが広がって行った。そして、県精連の前身である「神奈川県精神障害者地域作業所連絡会(精作連)準備会」が1983年、翌年1984年正式に発足した。その当時、全県に地域作業所が十数か所しかない中で、横のつながりを作ろうと家族、職員、行政職員、社協、医療関係者が集まり、研修会や情報交換し、1984年に県社協が、全国で先駆けて始めた「精神保健ボランティア講座」と様々な活動を合同で開催しながら市民も巻き込んだ運動になっていった。

平成に入り、県は1990年に「生活ホーム補助金制度」を創設し、国は1993年に「精神保健法」一部改正でグループホームを法定化した。同年「障害者基本法」(心身障害者対策基本法改正)施行され、日本における精神障がい者が障がい者として法的に定義され、1995年「精神保健福祉法」施行で、精神障害者福祉手帳を保健所で申請出来るようになった。1999年「精神保健福祉法」一部改正で、市町村を中心とした、精神障害者の在宅サービスの促進を図るため、ホームヘルプサービス、短期入所が法定化され、2002年に、市町村に精神障害者居宅介護支援事業実施と保健所業務の一部が移管され、手帳申請が市町村窓口となる。2003年「支援費制度」(精神障がいは対象でない)が始まり、福祉サービスが措置から契約へと流れが変化していく。2006年「障害者の雇用の促進等に関する法律」が改正され、精神障がい者が適応対象となる。同年、「障害者自立支援法」が施行され、3障がい一元化、利用者負担、事業体系の見直し、就労移行への強化など福祉制度の大きな転換が行われ、2013年に「障害者総合支援法」になり現在に至っている。2014年に年に我が国は国連「障害者権利条約」を批准し、2016年に「障害者差別解消法」が施行されが、同年7月26日、相模原市にある「県津久井やまゆり園」において、元職員による「障がい者はいなくなればいい」という悲惨な殺傷事件が起きてしまった。

この平成の30年間で、精神病者から障がい者としての生活のしづらさに制度が変化していく中で、今もなお、我が国の精神科病院の病床数は世界の2割強あり、今現在29万人の人たちが入院していてその65歳以上の方たちが5割入院している現実を踏まえ、権利条約の「私たちのことは私たち抜きで決めないで」をどう実践するか関わる人々に問われて行く課題であると思われる。

昨年度から県精連の組織の在り方について会員の皆様の意見アンケート調査をして検討して来た中で、今年度は、6ブロックから5ブロックと編成を換えることにし、役員数の削減に伴う常設委員会の事業の見直しを実施し、今後は部会の在り方を検討していく予定である。

我々は、たび重なる制度の改変により、その動きに忙殺されてしまいがちではあるが、精神障がいの方々の生活のしづらさは、毎日変わりなく続いている。ことの本質を見失わず、目の前に生活している精神障がいの方々がその人らしく安心して生活出来るような活動の実践をするためにも、情報の把握と業務の振返り、自己研鑽、地域関係者との横のつながりを強めて行く必要があり、当会の活動もその一翼を担えるように会員の皆様と活動を継続していく所存である。

総会・理事会等の開催

  1. 特定非営利活動法人 神奈川県精神障害者地域生活支援団体連合会
    第16回総会 5月25日(土)厚木市にて開催。
  • (ア)常任理事会を開催し、当会の運営及び各事業について協議検討し理事会への提言等を行なう。
    会員事業所の状況を把握し、補助金据置に伴う2019年に向けて県精連組織の在り方や、会の事業推進を図るための検討協議行い、理事会へ提言していく。
    「障害者総合支援法」施行など、国を始めとする行政や精神保健福祉の動向について、情報収集を行い会員への情報提供、理事会への提言なども行なう。
    開催日:原則として年6回奇数月第3火曜18時30分より開催

    (5/21 7/16 9/17 11/19 1/21 3/17 を予定)

  • (イ)理事会を開催し当会の運営及び各事業について協議し、会運営と事業の推進に努める。
    開催日:原則として年6回 偶数月第3木曜17時より開催

    (4/25 6/20 9/17 11/19 1/21 3/17 を予定)

  • (ウ)神奈川県精神障害者地域生活支援4団体代表者会の開催。(NPO)横浜市精連・川崎市精連・神奈川県精神保健福祉士協会との代表者会議を開催し、共同事業について協議し事業の推進を図る。また必要に応じて情報交換等を行い、各団体との連携を深める。
    開催日:原則として年3回開催
  • (エ)神奈川県障害福祉課との協議会を開催し、理事及び要望調査委員が出席し、県との意見情報交換、要望事項等の協議の場を持つ。

事業内容

  1. 特定非営利活動に係る事業
1)精神保健福祉の充実及び、促進に関する事業
ア.運営相談員派遣事業(県補助事業対象)
神奈川県から補助金を受け、地域活動支援センター、グループホーム、就労支援事業所、相談事業所等、関係職員、県民等の運営する事業所の運営内容、運営事業、会計等のさまざまな相談に応じ以って的確かつ適正な事業展開を促進するため、運営相談員を事務局に配置し随時派遣する。運営に関する法律的相談に対して弁護士と委託契約する。
通年
神奈川県平塚市(事務局)
従事1名(事務局職員)
対象地域活動支援センター、グループホーム、就労支援事業所、関係職員、県民等
・支出見込額3,074,000円
イ.ブロック運営事業
ブロック定例会を実施し、地域活動支援センター、グループホーム、就労支援事業所、相談事業所等、関係職員、県民等の連携と各地域に即した活動の推進を図るため意見、情報の交換及び、研修会を行う活動に対して運営助成を行う
通年
神奈川県域各地
従事16名(理事)
対象地域活動支援センター、グループホーム、就労支援事業所、関係職員、県民等
・支出見込額240,000円
ウ.部会運営事業
定例部会を実施し、地域活動支援センター、グループホーム、就労支援事業所、相談事業所等、関係職員、県民等の連携と各事業に即した活動の推進を図るため意見、情報の交換及び、調査研究を行う活動に対して運営助成を行う
通年
神奈川県域各地
従事4名(部会長)
対象地域活動支援センター、グループホーム、就労支援事業所、相談支援事業所等 関係職員、県民等
・支出見込額160,000円
エ.施設賠償保険加入促進事業
損害保険会社と連携し施設賠償保険加入の取り扱いを行う
通年
神奈川県平塚市(事務局)
従事1名(事務局職員)
対象地域活動支援センター、グループホーム、就労支援事業所、相談支援事業所等
・支出見込額970,000円
オ.広報、啓発活動「県精連メール速急便」「県精連の動き」
「県精連メール速急便」発行及びホームページの活用を行い、時機に即した情報の共有を行う。また4ブロック合同定例会に「県精連の動き」を発行し情報発信していく。不定期にブロック会開催時にも発行。
通年
神奈川県内精神保健福祉関係施設他
従事1名(事務局職員)
対象会員、関係機関
・支出見込額60,000円

2)精神保健福祉全般に関する研修事業
支出見込総額 2,920,000円(内補助対象額1,420,000円)

ア.研修事業(県補助事業対象)
研修委員会を設置し、地域生活支援の質の向上を図るため、精神保健福祉に関する講義とディスカッションを実施し、地域活動支援センター、グループホーム、就労支援事業所、相談支援事業所等施設運営実務に関する諸問題について活動の言語化、記録化をもとに実践研究をおこなう。各部会・ブロック会での研修を共催する。
随時
神奈川県内精神保健福祉関係施設他
従事15名(研修委員・各部会役員・各ブロック会役員)
対象会員、神奈川県内の施設職員、運営委員等、年間延べ200名
・支出見込額2,470,000円
イ.当事者体験発表会開催事業 (県補助事業対象)
県民、関係者、家族など、各方面に対する啓発活動の一環として、精神障がい当事者による、自己体験の発表会を開催する。
年1回
県精連会員関係施設等
従事10名(担当ブロック委員・研修委員)
対象会員、関係職員、障がい当事者、県民、学生等200名
・支出見込額450,000円
3)精神障がい者が住みやすい社会の実現のための要望調査事業
要望調査委員会を設置し、精神保健福祉を取り巻く大きな流れを把握し、地域生活支援の質の向上を図るため、地域活動支援センター、グループホーム、就労支援事業所、相談支援事業所等、施設運営実務に関する諸問題について検討調査する。これら実践研究及び調査をもとに対県要望活動を実施し、地域活動支援センター・グループホーム、就労支援事業所、相談支援事業所等の活動に反映させ、地域福祉増進の一翼を担う。
年12回
神奈川県内精神保健福祉関係施設他
従事10名 (要望調査委員) 
対象会員、神奈川県内の施設職員、運営委員等、年間延べ100名
・支出見込額350,000円
4)関係機関・団体との連携に関する事業
ア.地域交流研修事業
特定非営利活動法人横浜市精神障害者地域生活支援連合会、川崎市精神障害者地域生活推進連合会、神奈川県精神保健福祉士協会との交流を図り、共同事業の推進に努める。
年1回(2月)
神奈川県内関連施設
従事7名(実行委員)
対象精神障がい当事者、地域活動支援センター、グループホーム、就労支援事業所、相談支援事業所、職員等150名
・支出見込額50,000円
イ.関係団体交流事業
協賛団体等関係機関団体との協力、交流、連携を図る。
年15回(通年)
神奈川県内関連施設
従事6名(常任理事)
対象精神障がい当事者、地域活動支援センター、グループホーム、就労支援事業所 利用者、職員、県民等 100名
・支出見込額20,000円
ウ.地域交流事業「県精連ふれあいソフトボール大会」開催事業
スポーツを通して、地域間の交流をはかる
年1回(10月)
平塚市民スポーツ広場
従事10名(実行委員)
対象精神障がい当事者、地域活動支援センター、グループホーム、就労支援事業所 利用者、職員、県民等 300名
・支出見込額150,000円
5)組織検討事業
組織検討委員会を設置し、当会の事業と組織の在り方を研究し、理事会に対して提言を行う。
年9回
神奈川県内関連施設
従事6名(常任理事)
対象関係職員、会員、会員団体役員等
・支出見込額30,000円